(2020/7/2 05:00)
企業の景況感はすっかり冷え込んでいる。世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、消費・生産活動の低迷から抜け出せない。感染拡大を防止する行動が経済活動を減速させる要因になるというジレンマをいかに克服するかが問われている。
日銀は1日、6月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表した。代表的な指標とされる大企業製造業の業況判断DIはマイナス34と6四半期連続で悪化、リーマン・ショック直後以来の低水準となった。外出自粛に伴う内需の減少に加え、サプライチェーン(部品供給網)の混乱や海外のロックダウン(都市封鎖)に伴う輸出の減少などが要因。業種別では自動車がマイナス72、鉄鋼がマイナス58など大幅に悪化した。
大企業非製造業もマイナス17と東日本大震災以来、9年ぶりにマイナスに転じた。訪日外国人客の大幅減少と外出自粛措置の影響で、宿泊・飲食サービスがマイナス91と急激に落ち込んだ。一方で小売りが2と前回調査のマイナス9からプラスに転じた。巣ごもり消費を取り込んだ結果で、業種による好不調が鮮明となった。
2020年度の設備投資計画は大企業製造業で前年度比6・5%増。企業収益が悪化し、内外経済の先行き不透明感が強い中では予想を上回る強気の計画といえよう。
政府の第1次、第2次補正予算や日銀の金融政策で、無利子・無担保融資や、返済の繰り延べなどの資金繰り支援を強力に実施した。金融機関の貸出態度判断(緩いから厳しいを引いたもの)が、中小企業で19と前回調査より1ポイント改善したのは、一連の施策によるものと言えそうだが、効果は不十分だ。
先行きについては、国内外で徐々に経済活動が再開され、景気は緩やかに回復するとみられる。ただ、大手製造業はマイナス27と7ポイントの改善を予想するが、中小企業製造業はマイナス47と2ポイント悪化する悲観的な見通し。
本格的な回復は感染の世界的な収束まで期待できず、当面は内需による底支えに頼らざるを得ない。厳しい事態に直面する中小企業への迅速な支援が求められる。
(2020/7/2 05:00)
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