(2020/7/3 05:00)
政府は新型コロナウイルス感染症対策の専門家会議を廃止し、法律に基づいた新たな会議を設置する。政府のコロナ対策へのリスクコミュニケーションが前進することを望みたい。
専門家会議は2月14日に発足した。役割は「感染症対策について医学的な見地から助言等を行う」とされ、感染拡大への危機感が低かった国民に「オーバーシュート」や「3密回避」などの言葉で、取り組みを促す役割を果たした。
しかし、「人との接触8割削減」などの厳しい対応に疑問の声があがったり、安倍晋三首相が学校休校を突然決定したことに専門家会議が関与していないことが明らかになり、政府と専門家会議の役割のあり方に疑念が生じる場面もあった。
6月24日に日本記者クラブで専門家会議の座長、副座長が会見し、「あたかも専門家会議が政策を決定しているような印象を与えていた」という反省を述べたが、医学的見地から出された提言を踏まえ、政策を実行するのは政府の役割であり、結果の責任をとるのも政府である。
新たに設置される分科会は、医学だけでなく、法律や危機管理などより幅広い知見のある委員を選定するという。その方針は妥当だが、同時に過去5カ月にとられたさまざまな政策のどれがコロナ対策として効果を発揮したかを具体的に検証し、今後の行動に生かす「PDCAサイクル」を回す作業が必要だ。
経済協力開発機構(OECD)の調査で日本は先進国のなかで検査数が極めて低いことが指摘されている。なぜそうなったのかを検証し、今後の対策に反映させてもらいたい。
このところ、新規感染者数が増え、2日は東京だけで2カ月ぶりに100人を超えた。また感染が急速に拡大するのか、すべきことはないのか、国民の不安は増している。
経済活動を続けながらコロナ感染対策に取り組むのが、ウィズコロナ時代のあるべき姿である。政府は検証結果を明らかにし、今後の実効ある政策に生かす。そのためにもリスクコミュニケーションが欠かせない。
(2020/7/3 05:00)
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