(2020/7/17 05:00)
プラス成長に転じた中国だが、先行きは予断を許さない。リーマン・ショック後のような世界経済のけん引役を担えるか。中国自身の今後の振る舞い方にかかっている。
中国国家統計局は16日、2020年4―6月期の国内総生産(GDP)の速報値が、前年同期比3・2%増になったと発表した。1―3月期に同6・8%減と過去最悪のマイナスを記録したものから一転、拡大に転じた。新型コロナウイルスの感染抑制で、生産活動が再開され、6月の鉱工業生産が前年同月比4・8%増と回復した。中国政府が経済対策の一環として、地方でのインフラ整備への積極投資を進めていることも寄与した。
ただ、今後の回復ペースには暗雲も漂う。足元の不安要素は雇用と個人消費の回復が鈍いことだ。6月の失業率は5・7%と5月よりわずかに改善したが、地方からの出稼ぎ労働者はカウントされておらず、失業の実態はより深刻と見られる。雇用不安が長引けば、個人消費の盛り上がりも期待できない。世界でコロナ感染が拡大するなかでは、輸出の大幅な回復も難しいだろう。
中長期の不安要素は、各国で相次ぐ“脱中国”の行方だ。コロナ禍で、中国に過度に依存する生産体制への反省が巻き起こった。米中の経済冷戦が激化していることに加え、友好関係を築いてきた欧州の主要国との関係にも、ヒビが入りつつある。
中国が香港や東シナ海でとる強圧的な姿勢への反発から、欧州連合(EU)が中国との投資協定の年内妥結に難色を示している。英国も安定供給への不安を盾に、携帯電話の第5世代通信網(5G)整備から中国華為技術(ファーウェイ)の排除を表明した。
コロナ禍からいち早く抜け出したとみられる中国だが、V字回復までは期待できそうもない。コロナ収束後の世界でも、中国が強権を振るう姿勢を続ければ、脱中国が加速する可能性もある。世界第2位の経済大国にふさわしい振る舞いを身につけ、世界経済の回復に貢献する行動を望みたい。
(2020/7/17 05:00)
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