(2020/8/7 05:00)
「両社はなぜ提携しないのですか」―過去何度もこの問いかけをした記者がいただろう。筆者自身もそうだった。島津製作所と堀場製作所が新しい計測機器の開発・販売で提携すると発表した。共に京都に本社を置き、世界で活動する計測・分析機器メーカー。
島津の上田輝久社長、堀場の足立正之社長が並んで、両社の社名ロゴをあしらったボードを背にした会見はもちろん初のこと。
30年前。両社の報道担当者に「一緒に何かやればいいのに」とよく言ったものだ。島津と堀場は、同じ業種だが意外にも競合は少ない。だから提携すればスケールを追求できるとの思いを抱いていた。
今回両社は、島津の液体クロマトグラフと堀場のラマン分光装置という、それぞれ国内シェアトップの技術を融合させ、「LCラマン」と呼ぶ新発想の計測システムを開発する。創薬や医療、素材など多くの用途開発に貢献できる。
日本有数の歴史を誇りノーベル賞受賞者を輩出した名門企業と、ベンチャーの気風を残す企業。「発表会のボードは簡単に作れたが、ここまで来るには相当時間がかかった」という。近くて遠い関係だった両社が、がっぷり四つに組んだ成果に期待したい。
(2020/8/7 05:00)