(2020/8/11 05:00)
このところ経済指標が発表されるたびに使われるのが「リーマン・ショック後の落ち込みを上回り、過去最大の下げ幅」という表現。2008年9月の米投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻とその後の金融・経済危機を上回るコロナ危機が訪れようとは、年の始めには考えもしなかった。
リーマン・ショックとコロナ危機の共通点は行きつく先が見えない、つまり経済的リスクの不透明さと不確実さにある。まさに「見えない恐怖」ということに他ならない。
リーマン・ショックはサブプライムローンを複雑に証券化した商品の価格が暴落し、金融危機を招いて実体経済を悪化させた。これに対してコロナ危機は、感染防止のための外出自粛が消費減退や生産停滞といった形で経済を阻害したことによる。
今のところ金融危機とは無縁だが、この先さらに景気が悪化して倒産企業が増加すると、金融機関の経営が悪化して金融危機につながる可能性がある。悪化の連鎖は止めなければならない。
感染防止と経済活動の両立はこの上なく難しい。しかし、感染が収束すれば経済が回復に向かうのは間違いない。先は見えなくても、方向はわかっている。感染防止の努力あるのみだ。
(2020/8/11 05:00)