(2020/8/24 05:00)
最長不倒であることより、国難を乗り越えた政権として国民と産業界に記憶されて欲しい。
安倍晋三首相が2012年12月26日に第2次政権を発足してから24日で2799日。安倍政権は佐藤栄作氏の連続在任記録を抜く最長不倒内閣となる。短命に終わった第1次政権を加えた延べ在任日数では、19年11月の段階で明治・大正期の桂太郎氏を超え、憲政史上最長の座にある。
長期政権の背景には、直前の民主党政権の無策ぶりや、野党の分裂・混乱など複数の要因があろう。見過ごしてはならないのは、衆議院が小選挙区になったことで、与党の派閥がかつてほど力を持てなくなったことだ。派閥を背景にした有力な対抗馬が現れず、政権を長期安定させる結果となった。
安倍政権に対する産業界の支持は一貫して強固だ。首相が持論である憲法改正より、経済政策を優先する姿勢を示していることが支持の要因だろう。法人実効税率の引き下げなど、産業界の要望に応えてきたことは評価に値する。岩盤規制の打破は決して十分ではないが、働き方改革など新たな流れを作ったことも意味があった。
しかし昨今の新型コロナウイルス対策の不手際は、批判を免れない。国民各層の悲鳴に左右される形で拙速・巨額の財政支出に動いたが、その意味や合理性は今後、改めて検証しなければならない。
もちろんコロナ禍への不備を首相ひとりの責任に帰すことはできない。しかし8年前に首相が政権に返り咲いた直後、経済政策「アベノミクス」によって景気を浮揚した大きな功績は、コロナによる経済縮小で帳消しになってしまった。世界的な感染爆発の収束がいまだに見通せないことを考えれば、現在の方が困難は大きいとも言える。
安倍首相の自民党総裁としての任期は21年9月まで。衆議院議員の任期は同10月までで、およそ1年ある。過去8年間の成果よりも、この先の経済運営が重要だ。コロナ禍を早期に克服し、日本経済再興の道筋を示してもらいたい。
(2020/8/24 05:00)
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