(2020/9/28 05:00)
大学の後期授業は対面とオンラインの組み合わせとするところが多い。しかし、全体の約2割が「大半がオンライン」としているのが気がかりだ。各大学には感染者の発生を過度に恐れずに、“学生のためになるか”を第一に考えてもらいたい。
新型コロナウイルス感染症対策で、多くの大学が前期の授業をオンラインで実施した。意外に長所も多く、中長期的に活用できそうだ。もっとも実験、実習、ゼミなどの演習は対面でなければ、十分な教育効果を引き出せない。学生同士がキャンパスに集い、リアルな交流をすることも大学生活には欠かせない。これが今の大学関係者の間で主流の考え方となっている。
文部科学省が9月中旬まで行った全国の大学・短期大学・高等専門学校の調査では、後期授業は「全面対面」が約2割、「併用」が約8割になった。しかし併用の内訳の学校数をみると、気になる点もある。7月時点で「全面遠隔」を予定していた全体の2割が、「ほとんど遠隔」(3割以下で対面を実施)にシフトしたのではないか、と読めるのだ。ほんの少しの対面授業の設定で、対応する大学が一定数存在するようだ。
大学は小中高校と異なり、学生の移動や活動範囲が広い、“3密”の大教室が多いなど、確かに難しい点が多い。経営側には「感染者クラスターが発生したらイメージダウンになる。オンラインならその心配がない」という判断があるとも聞く。実際、批判的な報道に直面した大学が出ている。
調査では「1クラスを対面とリアルタイム配信の教室に分け、交互に入れ替えて少人数化を図る」(浜松医科大学)、「(密集を避けるため)学食やバス停など施設の混雑状況をアプリで公開する」(桜美林大学)などの好事例が紹介された。こうした工夫をせずに大半をオンラインですませる大学は今後、受験生の募集、ひいては経営にも影響が及ぶ恐れもある。
学生の教育は大学の最優先事項である。学生の気持ちに寄り添い、よりよい教育に向けた努力を重ねてほしい。
(2020/9/28 05:00)
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