世界最小クラス・富士電機最大容量。大容量太陽光発電用PCSの開発秘話【PR】

(2021/2/23 12:00)

PCS国内シェア2位の富士電機。大容量・小型化で競争力を高める

今回開発した屋外型 大容量太陽光発電用パワーコンディショナ(PCS)「PVI1500CJ-3/2500」。直流電圧1500Vに対応する。

 地球温暖化防止などへの対応の重要性が大きくなるなか、再生可能エネルギーの拡大が重要になっている。再生可能エネルギーの一つ、太陽光発電において太陽光発電用パワーコンディショナ(PCS)は不可欠な装置の一つだ。PCSは、太陽光パネルで発電された直流の電力を、家庭で利用できるように交流へ変換する装置で、この変換効率・容量が太陽光発電設備の発電効率に与える影響は大きい。

 日本では2012年に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が始まり、メガソーラーの建設が相次いだ。富士電機は自社製パワー半導体を使用した高効率PCSにより事業を拡大し、容量100kW以上の国内市場(出荷台数ベース)で現在約15%のシェアを獲得し、2位グループに属している。ただ、近年国内のメガソーラー設置が一巡してしまったことで、本格的に海外展開を目指して開発したのが今回の大容量PCSだった。

 海外展開を目指す上で避けて通れないのが製品のコスト競争力だ。そのため、富士電機の大容量PCSは電力密度を上げることによる大容量・小型化で、顧客のニーズに応えた。容量は過去最大の2500kVAを誇り、他社製品比で30%、富士電機の従来製品比で40%小型化を実現した。設置面積は1メガワット当たり1.1平方メートルとなり、世界最小クラスとなる。

内外冷却の複合で小型化を実現

 大容量・小型化の秘訣は、これまで培った冷却技術を生かした盤内構造の見直しだ。富士電機 電源機器開発部・構造開発担当の前田哲也主任は「大容量化する時の一番の課題は、搭載する回路数に伴い増える装置の発熱量。今回の開発では、装置の発熱量は50kWを超え、外気温度60℃近くでも運転可能な環境が求められたため、しっかりした冷却が必要だった。コスト目標達成のため小型化も必須であり、その両立のできる盤内構造の設計が大変でした。10通り以上の構造レイアウトと20通り以上の温度・風速におけるシミュレーションを重ねて、最適解を導き出しました」と苦労を語る。そうした試行錯誤の結果、熱に弱い精密部品のあるエリアは熱交換機で冷却し、それ以外は外気で冷却するというように内外冷却を複合した構造で大容量・小型化を実現したという。

PCSの盤内構造

 低出力時の高効率化も大きな特徴だ。通常、PCSはパワー半導体などで構成する三つのインバータ回路を搭載し、太陽光パネルで発電された直流の電力を交流に変換する。従来は太陽光パネルの発電量が少ない時間帯(低出力時)でも全てのインバータ回路を作動させていたが、今回出力状況に応じてインバータ回路の数を最適に制御する工夫を凝らした。その結果、従来と比べて低出力時(定格出力の5-30%時)の発電効率が0.5pt-3.5pt向上したという。

 また、富士電機のPCSの技術的な強みとして忘れてはならないのが、自社製パワー半導体のIGBTモジュールだ。富士電機の電源機器開発部・電源開発担当の久世直樹主任は「当社でつくっている半導体を用いた3レベルインバータを構成することで、従来品より発電効率が非常に良いのが強みだ」と自負している。

今後需要が伸びる東南アジアを中心に展開。クリーンエネルギーの普及に貢献

PCSの前に立つ前田哲也主任(右)と久世直樹主任(左)(富士電機 神戸工場にて)

 今回開発した2500kVAのPCSは、海外子会社と富士電機が協働でEPC受注した富士電機海外初の太陽光発電プロジェクトでの採用が確定している。ほかにも商談が進んでおり、世界的な新型コロナウイルス流行による景気悪化が懸念される中で比較的順調な滑り出しだ。

 富士電機 プラント営業技術担当の藤井幹介主席は「東南アジアは今後電力需要が伸びていくが、火力発電でそれをまかなうのは難しくなるので、再生可能エネルギーの活用ニーズが出てくる」とPCSの商機拡大に期待する。太陽光発電所のEPCと連携しながら、成長著しい東南アジア市場で事業展開を加速し、クリーンエネルギーの普及に貢献していく。

太陽光用パワーコンディショナPVI1500CJ-3/2500の詳細はこちら

富士電機株式会社

(2021/2/23 12:00)

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