(2021/3/5 05:00)
経済活動の活発化は感染者ゼロの達成後にあるのではない。政府は、それを国民と企業に的確に伝えてほしい。
政府は5日にも、新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言を、東京など1都3県で再延長する方針を決める。解除を期待してきた飲食などの事業者にとっては残念だろう。
ただ国民各層に根深い不安が残る現状にあって、専門家会合や自治体の意見を受け入れた結果であるなら、政府の判断を否定することはできない。産業界としては会合の自粛やテレワークの推進を通じ、これまで通りに感染の防止に取り組みたい。
過去1年間、我々の社会は新型コロナに対する経験を積み重ねてきた。中でも2度の緊急事態宣言では、欧米諸国に比べて極めて緩やかな制限だけで感染爆発を抑止したことの意味は大きい。今後ワクチン接種が順調に進めば、コロナ克服の道が見えてこよう。
仮に宣言の延長で「感染漸増段階」のステージ2を達成したとしても、強力な感染力を考えれば“コロナ追放”は不可能に思える。海外との交流で新たな変異ウイルスが持ち込まれる懸念もある。毎冬のインフルエンザの流行と同様に、社会が一定の感染を受容していく必要があるだろう。
コロナの出口は経済活動との併存である。そのためには緊急事態宣言という一律規制だけに頼るのではなく、新設した「まん延防止等重点措置」などを活用し、地域と時間を限ったきめ細かな感染防止策を講じることが望まれる。
中長期の社会課題も見えてきた。コロナのような指定感染症に限られた病院しか対応できない今の医療システムを、いかに見直すか。困窮世帯や零細な事業者の公的支援には、行政のIT化が欠かせない。そのためには現行の個人情報保護規制を改め、マイナンバーカードを一気に普及させるべきだ。
すでに多くの企業では、従業員や取引先に感染者が出ても、当局の指示による待機などを順守して営業を継続している。国民の理解は深まっている。
(2021/3/5 05:00)
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