(2021/6/17 05:00)
男性の育児休業取得などを促す改正育児・介護休業法が成立した。企業は働き方改革を前進させ、企業価値を高める一助にしたい。
現行制度は原則、子どもが1歳になるまで夫婦どちらでも取得できる。だが厚生労働省の2019年度調査によると、取得率は女性の83・0%に対して男性は7・48%にとどまる。
「男性育休は1―2日しか休まない形だけのものも少なくない」(社会保険労務士)との指摘もある。共働き世帯が増えても育児は妻任せという旧態依然とした実態が見て取れる。
改正法は出生後8週間以内に4週間まで休める「出生時育児休業」を新設。出産直後や里帰り出産から帰宅する際など2回に分けて取得し、本人が希望すれば休業中に就業できる。勤務先への申し出期限を休業の2週間前(現行1カ月前)に短縮し制度の使い勝手を高めた。
企業は育休対象の従業員に対して新制度を個別に周知し、取得の意向確認が義務付けられる。さらに従業員1000人超の企業は育休の取得状況を公表しなければならない。22年4月以降、順次導入する。
選択肢を拡充しても利用が進まなければ絵に描いた餅にすぎなくなる。企業は新制度の周知に努めるだけでなく、人事制度に落とし込み、男性が育休を取得しやすい職場風土の醸成に努めたい。ロールモデルとして育休取得者が体験談を従業員に伝える場づくりは有効だろう。
コロナ禍でリモートワークなど多様な働き方の重要性が認識された。その実現には自分で目標を立て計画的に実行できる「自走型人材」の育成がカギになる。男性育休も人材育成や業務の効率化という視点からとらえ直し、骨太の企業体質づくりに生かす発想が必要だ。受け身の姿勢では従業員や企業の血肉にならない。
男性育休は取得率を社外に発信し、企業価値の向上につなげる発想も重要だろう。採用活動で学生から好感を持たれ、従業員の定着率が高く、投資家から評価される、持続可能性の高い企業を目指してほしい。
(2021/6/17 05:00)
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