(2021/8/4 05:00)
社員の健康を守り事業継続を図るため、感染対策をもう一段高めたい。
新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。デルタ株の感染力は猛烈で、米疾病対策センター(CDC)は「水ぼうそうに匹敵する感染力」とし、1人から8―10人に感染を広げる恐れを指摘した。
全国の新規感染者数が1万人を超える日が続き、ワクチン未接種の40―50歳代が重症化する割合が急増している。政府は病床逼迫(ひっぱく)対策として、入院の対象を重症や重症化リスクの高い人とし、それ以外は自宅療養を基本とする方針を示した。危機的状況であるのは間違いない。
感染経路は家庭内が最多だが職場内感染が2番目に多い。企業はこれまでも感染対策を進めてきたが、より強力な対応をとる段階だと認識すべきだ。
阪急阪神百貨店は、阪神梅田本店で集団感染が発生したため、7月31日から2日間全館休止し、8月2日以降も感染者が発生した複数フロアの休業を継続する措置をとった。感染防止の基本的な対策はとっていたが、不特定多数の客が来店するだけに限界があった。全館休館の対応は妥当な判断といえる。
企業内感染に最も有効なのは、テレワークの推進である。大企業は東京五輪の開催中ということもあり、首都圏を中心に大幅なテレワークを継続するが、中小企業の実施率は低位に留まっている。諦めず、採り入れる策を真剣に探ってほしい。
13―15日の旧盆前後も休暇取得を奨励し、出社する社員を極力減らす対応も有効だ。
どうしても出社が必要な場合も、社内感染が休憩室や食堂、喫煙室など、マスクを外して会話する場所での飛沫(ひまつ)感染経由で発生しやすいことを考慮し、「黙食」や「個食」を励行するなど、より強い対応を講じるべきだ。社員の健康を守るのは経営者の責務である。
ひとたび社内で集団感染が発生すれば、事業所全体が休止に追い込まれ、事業継続に大きな支障が出る恐れもある。感染拡大の正念場に、取り得る限りの対応を考えたい。
(2021/8/4 05:00)
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