(2021/8/17 05:00)
一天、にわかにかき曇り―とは講談などで風雨の急な襲来を告げる言い回し。漢詩『望湖楼酔書』には、これによく似た表現がある。
「黒雲、墨を翻して未(いま)だ山を遮らず/白雨、珠を跳(おど)らして乱れて船に入る」―真っ黒い雲が、墨を流すように山の向こうに湧いた。見通しを悪くするほどの大粒の雨が、乱れ飛ぶように船の中に降り込む。黒雲と白雨の対句が、突然の夕立を印象づける。
作者の蘇東坡(そとば)は中国史上、有数の文化人。その詩の作風は自然を好み、細やかな変化に自らの心情を託す。古くから多くの日本人に愛されてきた。
四季のメリハリは景気のプラス要因。梅雨はジメジメと、夏は猛暑で、冬は厳寒が続くほど衣食住それぞれにふさわしいモノが売れる。しかし予告なく襲ってきて短時間でカラリと上がる夏の夕立には、あまり経済効果はなさそうだ。
蘇東坡の詩は「地を捲(ま)く風来りて、忽(たちま)ち吹き散ず/望湖楼下、水天の如し」―一転して強い風がやって来て、たちまち雨雲を吹き散らし、ウソのように静まりかえった―と結ぶ。ゲリラ豪雨を思わせる描写だ。古代中国には、現代の線状降水帯のように長時間、降雨が続く困った気候はなかったのだろうか。
(2021/8/17 05:00)
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