(2021/8/20 05:00)
「飢えて黍稷(しょしょく、穀物)を求め 渇して井を穿(うが)つ 闘いて錘(すい)を鋳(い)るがごとし」と中国・前漢の歴史故事集『説苑(ぜいえん)』にある。必要に迫られてから準備するのでは間に合わないことの例えだ。コロナ禍は1年7カ月を超えたが、政府の対策はこの繰り返しではなかったか。
都内の自宅療養者は2万人を超え、入院できずに亡くなる人も増えてきた。デルタ株の重症化リスクに対する不安は察するに余りある。感染者の急増による医療体制のひっ迫は十分予測できたはずだ。
政府は酸素ステーションの設置や宿泊療養の体制づくりを進めるというが、渇して井を穿つに等しい。いつまでに、どのような対策を講じるのか、早急に具体策を示してほしい。
東京など6都府県で発出している緊急事態宣言は期限が9月12日まで延長され、きょうから京都や福岡など7府県が追加になる。初回の宣言は街中が閑散とし、効果を上げたが、国民の自粛生活は限界にきている。
東京都は今年に入り宣言期間が全体の7割強を占める。慣れや疲れは当然のことだ。災害級の危機というなら、治療ができる大規模な臨時医療施設の設置は急務だろう。即効性のある対策を伴わない宣言延長は失意を深めるだけだ。
(2021/8/20 05:00)
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