(2021/8/26 05:00)
医療逼迫(ひっぱく)の危機が全国に広がりつつある。国や自治体だけでなく、企業も従業員の命を守る行動を真剣に考えるべきだ。
政府は25日、新型コロナウイルス感染に伴う緊急事態宣言の対象に北海道や愛知など8道県を、まん延防止等重点措置に高知、佐賀など4県を追加することを決めた。これにより、対象は33都道府県に拡大する。
医療の逼迫は深刻化している。連日のように感染者の入院受け入れ困難事案が発生し、東京都の自宅療養者は約2万5000人に達している。感染で重症化する年齢層は40―50代だけでなく、20―30代にも拡がり、若者は感染しても影響は軽微と言えない状況にある。
政府や自治体は、コロナ患者を受け入れていない病院への協力要請の強化や、「酸素ステーション」の設置を進める方針。ただ、医療従事者不足で急増する患者を受け入れるには不十分だ。重症化を防止する効果が高いとされる抗体カクテルを、重症化リスクの高い感染者に早期に投与する効率的な体制構築に全力を挙げるべきだ。
企業にとっても切実な事態だ。これまでも事業継続と感染リスクの抑制に取り組んできたが、今後はより感染対策への比重を高め、従業員の命と健康を確保する段階にあると認識すべきだ。
中小企業もテレワーク率の向上を真剣に検討してもらいたい。どうしても出社が必要な業務においては、マスク着用や手洗い、個食の励行などの基本的な対応を徹底する。同時に、短時間で検査が可能な抗原検査キットを事前に配備し、体調の優れない社員や濃厚接触者に迅速に検査を実施するなど、クラスター発生を未然に防ぐできる限りの対策も必要だろう。
感染し自宅で療養する従業員に、食事や飲み物を提供したり、見守る仕組みなども検討したい。本来なら自治体が対応すべき事だが、現実問題として行き届いていない。
ワクチン接種が国民に行き渡るまで、危機が自分たちの身近で起こる大規模災害と同じ意識で対処を考えてもらいたい。
(2021/8/26 05:00)
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