(2021/9/1 05:00)
新型コロナウイルス感染症が収束しない中、今年も各地で大規模水害に見舞われた日本列島。だが、巨大地震の発生リスクなど多くの災害からも目をそらすわけにいかない。複合災害が発生する最悪の事態を想定した事業継続計画(BCP)の練り直しを検討したい。
首都直下型地震、南海トラフ地震など、近い将来に発生する確率が極めて高い大震災に備えなければならない。企業の多くは、阪神淡路大震災・東日本大震災など、過去の大規模地震を契機にBCP策定に取り組み、一定の対策はできている。
ただ、策定したBCPを不断に見直す体制をとる企業はまだまだ十分ではない。特に中小企業ではその傾向が顕著だ。
まずは政府や自治体が提供する、最新の防災情報を確認したい。首都直下型地震や南海トラフ地震が発生した時に、地域ごとにどういう被害が発生するかは、シミュレーションを含めかなり細かく示されている。自社の拠点や従業員の居住地が災害発生時にどのようなリスクがあるのかを改めて確認し、リスクを軽減する対応を平時に検討するのが肝要だ。
自然災害の中でも、異常気象による水害のリスクは、想定外の被害が毎年発生する事態となっている。ハザードマップ(災害予測地図)など公開情報を活用して被害を見える化し、拠点移設や設備の移動など、より現実的な対応も考えるべきだ。
感染症の世界的大流行を経験した我々は、医療の脆弱(ぜいじゃく)さと同時に、飲食や宿泊など特定の業種に多大な影響が発生すること、製造業においてもサプライチェーンの分断が長期化することなど、多くのことを学んだ。事業継続だけでは足らず、企業の存続に関わるリスクが生じる恐れもある。
もちろんすべてのリスクに万全の備えをするのは難しい。しかし、最悪の事態を想定し、その中で自社にとって最優先で取り組むべき課題を常に確認する作業は怠るべきではない。きょう「防災の日」など、防災に関する節目の日を活用し、毎年計画を更新するようにしたい。
(2021/9/1 05:00)
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