(2021/10/27 05:00)
「山は暮て野は黄昏の薄哉」。薄(すすき)は秋の季語ながら冬の訪れを予感させる。与謝蕪村も夕闇が迫り物寂しい風情を感じたのだろう。だがススキに覆われた耕作放棄地は風情どころか将来が不安になる。
温暖化対策でススキが脚光を浴びるかもしれない。北海道大学教授の山田敏彦さんは、ススキとオギの自然交雑種ジャイアントミスカンサスを耕作放棄地で栽培し、バイオマス発電など地産地消の燃料に使う実証研究に自治体と取り組んでいる。
ジャイアントミスカンサスの魅力は炭素吸収量にある。1ヘクタールの栽培面積当たり二酸化炭素(CO2)換算で年間約50トンを吸収できる。山田さんは土壌中に炭素貯留もできるため「カーボンネガティブの効果がある」と話す。
一度、根茎を植え付ければ刈り取りだけで追肥や耕作は不要。食糧と競合せず、水害にも強い。課題は収穫まで約3年、造成費など初期投資の回収に10年以上かかることだ。農業者も林業者のような長期的な視点が必要になる。
山田さんは「農地を耕作放棄地にせず、農家は節税対策になる」と利点を説き、収量の向上に知恵を絞る。脱炭素と農業振興の一石二鳥はなるか。北の大地の野心的な挑戦に期待したい。
(2021/10/27 05:00)
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