(2021/10/29 05:00)
コマツや日立建機などの建設機械大手が、国内林業機械の開発を強化している。森林には保水や二酸化炭素(CO2)貯留などの役割もある。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の国際公約を果たすためにも林業機械開発の支援を急ぐべきだ。
日本は国土の約3分の2が森林に覆われ、森林大国のイメージが強いが、作業者の高齢化で荒れたまま放置されている山林も少なくない。
林業機械の市場は北欧など欧州メーカー製が多く、日本製はわずかだ。ドイツや北欧と比較して日本は山林経営の規模が小さい上、木を切り出したり運び出す林道や作業道も整っていない。これが林業機械の普及を阻む要因になってきた。機械化が進まず、人手によるチェーンソー作業に頼らざるを得ない。危険な作業の上にコストが上昇し、割安な南洋材との価格差が拡大。国産材より輸入材が利用される風潮が長く続いてきた。
しかし最近は違う。欧州も東南アジアなども人件費が上昇し、自国の森林資源保護の側面もあって、輸入材は年々入手しづらくなっている。米国の住宅ブームで、木材価格が高騰する“ウッドショック”は日本の住宅産業にも影響を及ぼしている。
植林が遅れていた中国や韓国などもここへ来て自国森林育成と保護に舵を切り始めた。森林が持つカーボンニュートラルや、洪水防止など防災面の役割に気がついたことが背景にある。
日本も高齢化やなり手不足で荒れ果てている山林の再生とてこ入れが急務だ。共同管理も含めた規模拡大に加え、ハーベスターや集材作業車が入れるようにする林道整備が求められる。
林業機械は建設機械と共通性が多く、条件さえ整えば建機のさまざまなノウハウを転用できる。コマツは伐採作業を省力化するハーベスターや植林機械を開発、日立建機も細長いアームで狭い場所にも入り込めるハーベスターを開発した。
日本の技術力を生かした林業機械ができれば、山林再生や市場拡大に加え、アジアや南米への輸出効果も期待できる。
(2021/10/29 05:00)
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