社説/変異株の市中感染 企業は緩んだ対策の再点検を

(2021/12/24 05:00)

新型コロナウイルス感染症の変異株「オミクロン株」の市中感染が検出された。予想はされていたことである。急激な感染拡大を招くかどうかの瀬戸際であると認識し、冷静かつ迅速に対策を進めてもらいたい。

海外の感染状況を見る限り、オミクロン株の感染力は、既存のデルタ株よりも数段強い。感染爆発となれば、重症者の増加は避けられない。検査の拡充とワクチンの追加接種、治療薬の有効活用が、対策の3本柱である。政府と自治体が連携し、実施を加速させたい。

いずれも適切なタイミングで適切な量を適切な場所に支給するロジスティクスの発想が重要である。デジタル技術の活用が基本となるが、ワクチン接種を記録するデータに多数の間違いが発生するなど、不具合も報告されている。検証をしつつ改善するアジャイル型で対処していくべきだ。

企業にとっては年末年始の休み明けが正念場となる。これまでと同様、社員の体調管理を徹底し、マスク着用や換気など基本的対策の励行が重要だ。一部の企業には緩みも見られる。テレワークの再強化など、緊張感を改めて持ってほしい。

政府はワクチンの3回目接種を職域で行う場合も、当初の2回目接種から8カ月を6カ月に前倒しすることを容認した。ただ、ワクチンが滞りなく供給されるか不明な点もある。正確な情報提供で混乱を回避してもらいたい。

政府は外国人の入国を停止する水際措置の延長を決めた。オミクロン株の性質を見極めるのに必要な措置ではあるが、いつまでも“鎖国”を続けるわけにはいかない。留学生や技能実習生など、日本にとって必要な人材が多数入国を希望している。検査や一定期間の隔離措置などの対応を講じることで、感染抑制と入国解禁の両立もどこかのタイミングで考えるべきだ。

コロナ感染も2年を経過し、対処法もある程度は見通すことができるようになった。ゼロコロナではなく、ウィズコロナが当面続くことを前提に、経済活動を継続する方向で考えたい。

(2021/12/24 05:00)

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