(2022/1/17 05:00)
国立大学などの連携の形が多様化している。オンライン授業で学生の行き来が問題なくなり、単位互換など教育での効果向上が期待される。一般社団法人を活用した新制度も教育や管理運営での協力を後押しする。各大学の特色に合わせ、地域に貢献する視点で進めてほしい。
単位互換は学生が他大学の科目を履修し、それを自大学の単位に認める制度で珍しくはない。しかし学位授与をする立場で、卒業に必要な単位分は単独で開設するのが前提のため、大学側の負担減には直結しない。受講のための移動の手間も大きく、学生の利用は一部に限られていた。
しかし新型コロナウイルス感染症対応で一般的になったオンライン授業で、移動の問題は解消される。自大学にない魅力的な科目を、他大学で学ぶ学生は増えてくるだろう。
加えて近年、自校に同様の科目が開設されていなくても、他大学での科目を単位認定できる「連携開設科目」の仕組みが動いている。国公私立を問わず複数大学が参画する一般社団法人で、文部科学相から「大学等連携推進法人」として認められた場合などで可能だ。
これなら重複が多い一般教養や受講者が少ない科目などで、教員側の負担を抑えつつ高度化が図れる。山梨大・山梨県立大のグループでは教養科目でスタートし、幼児教育や地域貢献人材育成でも検討中だ。
徳島大、香川大、愛媛大、高知大、鳴門教育大の四国5国立大グループは、焦点を教員養成課程に合わせて進めている。同法人は教育だけでなく、教職員の相互派遣や共同調達でも力を発揮でき、可能性は大きい。
ドラスチックなのは国立の「1法人複数大学」での統合だ。名古屋大と岐阜大の「東海国立大学機構」に続き、小樽商科大、帯広畜産大、北見工業大の「北海道国立大学機構」が2022年度に発足する。
どの手法がその地域・大学に最適かは一概に言えない。しかし選択肢が増える中、各大学には挑戦しての実際を社会に情報発信し、競い合ってほしい。
(2022/1/17 05:00)