(2022/1/14 05:00)
「オミクロン株」の実態を把握し、合理的な対策で社会経済活動を維持していきたい。
新型コロナウイルスの感染第6波が現実のものとなりつつある。沖縄県などに続き、東京でも感染の主流が既存の「デルタ株」からオミクロン株に置き換わったことが確認された。
オミクロン株の特徴は、感染力が格段に強いことと、感染しても多くが軽症・無症状で潜伏期間も短いことである。
ただ一定割合で重症者は発生し、軽症でも感染者が爆発的に増えれば、社会経済活動の停滞は避けられない。沖縄では医療従事者の感染拡大で適切な医療が提供できなくなっており、海外では生産・物流や公共交通が停止する事態となっている。
これら社会経済活動に不可欠なエッセンシャルワーカーへの3回目のワクチン接種を急ぐべきだ。政府はすでに始まっている医療従事者へのワクチン接種に加え、高齢者への前倒し接種を決めた。現状では職域接種は3月開始としているが、大幅な前倒しも検討してもらいたい。
同時に、政府は専門家を交えて感染後何日経過すれば他者に感染させないか、濃厚接触者の待機期間の妥当性についても具体的なデータで検証を急ぐべきだ。軽症者が早期に社会活動に復帰する仕組みが機能すれば経済活動の打撃を低減できる。
企業としては、テレワークやマスク着用、“3密”回避、換気といった基本的な感染対策を徹底したい。また、万一社内でクラスターが発生した時に備えて、事業内容を精査し、継続すべき業務に必要不可欠な人員の確保策や必要経費などを想定したコロナ対応の事業継続計画(BCP)を策定しておく必要がある。
特に中小企業にとって突然の業務停止は企業の存続に関わるおそれもある。人員を複数グループに分け、接触させない仕組みを講じるなど、現実的な対応策を考えてもらいたい。
感染第6波の頂上を極力低くできれば、医療の逼迫(ひっぱく)を防ぎ社会活動も維持できる。今が最も重要な局面と認識し、とるべき対応を急ぎたい。
(2022/1/14 05:00)