(2022/1/18 05:00)
南太平洋のトンガで発生した大規模海底噴火は、新たな災害の脅威を見せつけた。被災地の復興支援に協力しつつ、噴火が及ぼす今後の影響に備えたい。
東日本大震災を経験した日本は、津波への観測態勢を強化してきた。それでも15日に起こったトンガの噴火への影響について、気象庁は15日時点で「日本への影響は軽微」としていたが、その後潮位の上昇を確認し、16日未明に太平洋沿岸部に津波警報・注意報を発表した。
気象庁は16日の会見で「今回の潮位変化は、地震に伴い発生する通常の津波とは異なる。しかし防災上の観点から津波警報の仕組みを使って呼びかけた」と説明した。海底地盤の変動による津波ではなく、大気圧の変化が海面上昇を引き起こした可能性を指摘する研究者もいるが、詳細は不明である。
新たな災害の類型として、科学的なデータをもとに検証作業を進め、潮位上昇のメカニズム解明を急ぎたい。適切な避難指示のあり方も再検討が必要だ。
海面上昇による被害も多数発生している。養殖場や漁船などへの影響を調査し、復旧支援につなげてもらいたい。
被災地のトンガは通信インフラが悪化し、正確な情報が伝わりづらいが、国際的な救援が必要なのは想像に難くない。近隣の豪州やニュージーランドが救援活動を表明しているが、日本も資金・人的支援に力を尽くすべきだ。特に火山国として、大量の降灰への対処策などの知見をフル活用してもらいたい。
大規模噴火が今後世界に及ぼす影響についても想定作業を進める必要がある。1991年にフィリピン・ピナトゥボ火山の大噴火が発生した時は、世界の航空機の運航に困難が生じた。噴煙が日照を妨げたことから、世界的に冷夏に見舞われ、農作物が凶作となった。
コロナ禍で食料の価格上昇が続いている中であり、投機的な価格上昇に拍車がかからないか注視する必要がある。
遠い国で発生した大規模災害が、自国にもさまざまな被害や影響を及ぼすことを再認識し、備えを固めたい。
(2022/1/18 05:00)
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