(2022/2/8 05:00)
新型コロナ感染症が長期化する中で正社員の転職希望者が増加傾向にある。感染が落ち着けば人材流動化が一気に進みそうだ。人手不足が続く中小企業では人材の維持や獲得に向けた取り組みが急がれる。
総務省の「労働力調査」によると、コロナ前は上昇基調にあった転職率が2020年に入り男女とも低下した。コロナ禍による経済活動の停滞で企業からの求人が減少したためとみられる。一方で転職希望者の割合は上昇傾向にあり注目に値する。
労働政策研究・研修機構が正社員に実施した調査では、コロナ前に比べ「転職しやすい環境」の重要性を認識している割合は約82%が「特に変わらない」と回答した。だが「かなり重要性が増した」「やや重要性が増した」も約12%を占めた。
さらに約12%に転職の意向を尋ねたところ、7割以上が「転職活動中」「転職したいが、まだ活動していない」と回答。「転職しやすい環境」の重要性が増した層は潜在的な転職希望者を多く含むことが分かる。
「転職しやすい環境」の重要性は月収が減少している正社員ほど高まる傾向にある。月収減少と関わりなく「仕事の削減」も影響を及ぼし、若い社員ほど転職希望は強まっている。リモートワークの長期化で自身のキャリアを見つめ直す機会が増えたことも影響していそうだ。
コロナ収束に伴い雇用情勢が好転すれば「行動を起こす転職希望者が爆発的に増える可能性は高い」と採用支援のマイリファー(東京都新宿区)はみる。
人材獲得競争の活発化により賃金上昇や福利厚生面の充実、働き方改革の進展が期待される。企業は事業の社会的価値を社内外に発信し、社員の働きがいを高める工夫が必要だ。
政府は労働市場の流動化を後押しすることで、日本経済の成長やレジリエンスの強化につなげ、賃金・非賃金面で労働分配を促す好循環を生み出したい。
そのためには労働移動の障害になっている制度や慣習を取り除いていくとともに、成長業種への労働移動を促進する職業訓練などの強化が求められる。
(2022/2/8 05:00)
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