(2022/2/18 05:00)
地域の中核・特色大学の研究力をいかに強化していくべきか。国の方針を各大学が受け止め、進むべき方向を選び取っていかなければならない。
内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)はこのほど、大学への研究支援のあり方に関する議論に区切りを付けた。低落が指摘される日本の科学技術力の底上げと研究者の処遇改善を図る。
一つは10兆円ファンドの運用益を投入する「世界と伍する研究大学の在り方について」の最終まとめ。博士課程学生を広く支援するのに加え、選ばれた数大学に手厚い資金を投じる。大学は企業などから集めた独自資金とともに基金を作り、研究の自由度を高められる。一方で経営には高い規律が求められる。
もう一つは「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」だ。特区制度を活用した新産業・ベンチャー創出、社会人を含む地域活性化の人材育成、分野融合と大学間連携など、関係府省の多様な施策を組み合わせる。大学の主体的な計画に対し、適切な振興策を文部科学省が伴走型で支援する。
対象は、資金を含む支援を自治体など地域から得ながら、“ニッチ分野でトップ”の研究力で社会変革を促す大学。
パッケージ化の狙いは従来のバラバラの予算事業では、各大学が個別の募集要項に当てはめるだけの計画に走ってしまう、という政策上の反省がある。
「世界型」と「地域型」の大学研究力の強化は、実は共通点が多い。研究力に基づき社会の賛同を得て、従来と異なる外部資金を獲得すること。大学の戦略的な改革を通じて、日本社会を変革していくことなどだ。
10兆円ファンドに注目が集まりがちだが、大学が選別や分断の意識に固執しては、真に重要なことを見落としてしまう。
今回の大学改革は、国立大だけでなく、国公私立全大学に向けたものだ。地域の人材育成や産学連携など、一つの有力国立大だけでカバーできるものではない。経営と研究の改革に本気で取り組む意識を、多くの大学に持ってもらいたい。
(2022/2/18 05:00)
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