(2022/3/16 05:00)
プラスチックの過剰使用見直しと再利用拡大を促す「プラスチック資源循環促進法(プラ新法)」施行が4月に迫る。国際社会はプラスチック廃棄物削減へ規制強化に向かっている。日本企業はプラ新法を世界の動向に先行する機会にしたい。
国連環境総会がケニアで2日まで開かれ、プラスチックによる環境汚染を防ぐ国際ルール制定に向けた交渉を始める決議をした。ルールは法的拘束力を持つため「条約」や「協定」になる見込み。国際交渉が2022年後半から始まり、24年までの決定を目指す。
各国に義務付ける内容は交渉で詰めるが、国別行動計画の策定を求める方向だ。温室効果ガス排出量の削減を自主的に決める「パリ協定」にならい、各国は自国の事情に合わせてプラ廃棄物削減計画をつくる。
国際ルール化で明らかなように、世界はプラ問題を脅威と捉えている。経済協力開発機構(OECD)が2月末に公表した報告書では、19年だけで610万トンのプラゴミが河川や湖、海に流出した。日本の年間プラ消費量が約900万トンなので、いかに廃棄量が多いかが分かる。
国際ルールよりも先に日本はプラ新法による新制度が始まる。まず過剰使用を減らすため、使い捨てプラを年5トン以上扱う事業者に削減義務を課す。店頭で配るスプーンやフォーク、ホテルで宿泊客に提供するブラシなど対象は12品目。有料化や代替化などの対応をとらない事業者には国が改善命令を出す。
簡素化や再生材の利用などの基準を満たした商品を国が認定する制度も創設し、プラの使用削減にインセンティブを与える。さらにメーカーや小売り業者に使用済み製品の自主回収を認め、企業がリサイクルに取り組みやすい環境も整える。
日本企業はプラ新法を契機に資源循環型ビジネスに転換すれば先回りして国際ルールに対処できる。発言力も高まり、ルールづくりの国際交渉にも関与できるはずだ。プラ削減の潮流の先頭に立ち、サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行も主導してほしい。
(2022/3/16 05:00)
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