(2022/3/22 05:00)
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で欧米のエネルギー大手が相次ぎロシアから撤退するが、資源のない日本の立ち位置は欧米企業とは異なる。わが国のエネルギー事情と方針、撤退しないのであればその覚悟を、早急に明確に国際社会に示すべきではないか。
極東の石油開発事業サハリン1と液化天然ガス(LNG)開発のサハリン2は、中東に石油をほぼ全量依存していた日本にとって、半世紀をかけた悲願の事業だ。国内石油消費の4%、LNGの10%弱を占めている。権益を確保し地理的に近く短期間で輸送できる点で、経済的にもエネルギー安全保障でも大きな役割を担っている。
日本政府も出資するサハリン1から米エクソンモービル、サハリン2から英シェルが早々に撤退を決めた。英BPなどもロシアから完全撤退。同国の天然ガスに5割以上依存するドイツは、完成目前だった2本目のパイプラインを中止し、代わりにLNG基地の建設を決めた。
一方で、仏トタルエナジーズはロシアでの新規投資は中止するが、既存事業は継続すると明確に打ち出した。これに対し西側諸国からの非難は聞こえない。各国各社が実情に応じた制裁を行うことを理解している。
エネルギーを自給できない日本は、サハリン事業を軽々に手放すべきではない。特に脱炭素化に向けた移行期には、低炭素燃料であるLNG確保が最重要だ。サハリン2や北極圏のアークテックLNG2プロジェクトから日本企業が撤退すれば、中国やインドが権益を獲得する可能性が高く経済制裁の意味もなさない。
ただ、ロシアの暴挙が拡大すれば一層の制裁が必要となり、日本も撤退を余儀なくされる事態は起こりうる。「各国と歩調を合わせ適切に対応する」と言い続けた結果、なし崩し的に撤退するのと、「継続する」と宣言した日本がそれでも撤退するとなれば、決断の重みと国際社会での存在感は異なる。
早期に旗幟(きし)鮮明にすべきだ。同時に長期のエネルギー調達の脱ロシアを急ぐ必要がある。
(2022/3/22 05:00)
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