(2022/3/23 05:00)
現状の円安は日本の国際競争力低下を反映したもので、決して「良い円安」ではない。今こそ、日本経済を強靱(きょうじん)化する政策を早急に打ち出すべきだ。
円安が加速している。22日の東京外国為替市場で一時、1ドル120円台と、約6年1カ月ぶりの円安水準となった。米国の利上げは一段と進むとみられ、日米金利差が拡大し、円安が進行している。
かつては「有事の円買い」と言われ、2008年のリーマン・ショック時は、円は安全資産としてリスク回避局面で買われた。14年のロシアによるクリミア半島併合の際も円高が進んだ。しかし、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻という大有事に、円安が進んでいる。
米連邦準備制度理事会(FRB)は事実上のゼロ金利政策を2年ぶりに解除し、政策金利を0・25%引き上げた。FRBは22年中に今回を含め7回の利上げを見込む。さらにパウエルFRB議長は0・5%の利上げの可能性を示唆した。
日銀は現在の大規模な金融緩和策の現状維持を決めた。欧米の中央銀行が金融引き締めに転じる中、日本の金融緩和策終了の時期はいまだ見えない。今後、日米金利差はさらに拡大するリスクが高まっている。
ウクライナ危機や日米金利差を背景に円安やエネルギー価格の高騰が進む。原材料価格の上昇にも波及しており、企業の収益減少が懸念される。業績悪化で賃金は上昇せず、物価高が進行すれば家計の購買力低下も加速するだろう。
国際決済銀行(BIS)によると、実質実効為替レートは約50年ぶりの円安水準。日本の購買力は1970年代のレベルまでに低下している。
景気後退と物価上昇が同時に進むスタグフレーションに陥らせてはならない。現下の円安は日本の経済力の弱体化が反映されている。経済を成長軌道に乗せるには、財政出動や金融政策では限界がある。
企業は苦しくとも賃上げを実行してほしい。政府は追加の経済対策や成長戦略で経済強靱化への施策を打ち出すべきだ。
(2022/3/23 05:00)
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