(2022/3/25 05:00)
岸田文雄政権は2022年度予算案が可決・成立したのを受け、追加経済対策の編成に入る。ウクライナ情勢の悪化に伴う「悪い物価上昇」と「悪い円安」が国民生活に大きな影響を及ぼしていることに対応する。まん延防止等重点措置を全面解除したのに続き、機動的な追加対策で経済正常化への歩みを進めてもらいたい。
需給ではなく、ウクライナ危機という地政学的リスクで資源価格が高騰する「悪い物価上昇」に加え、輸入物価をさらに上昇させる「悪い円安」の負の連鎖が企業業績の足かせとなっている。
皮肉にも、日銀が掲げる2%の物価上昇目標は4月以降に達成する可能性があるが、景気拡大を伴わない目標達成となる。そのため資源価格の高騰を抑える円高に誘導する金融引き締めに動くこともできない。
金融政策の選択肢が乏しい中、岸田政権は財政出動による追加経済対策で日本経済を下支える。ガソリンなどの燃料高騰対策として、3月末までの時限措置で石油元売り会社への補助金給付を講じているが、これを延長する検討に入る。小麦など食料品の高騰に対応した家計の負担軽減や、4月から受給額が減る年金受給者への給付、中小企業に対する資金繰り支援なども検討することになる。
新型コロナの国内新規感染者数が減少傾向にあるだけに、早期の執行によりインフレの影響を最小限にとどめて経済を底上げしてもらいたい。
岸田政権は、ガソリン税の一部を減税する「トリガー条項」の凍結解除も検討するが、税制関連法の改正を伴うなど実現に時間がかかる。そもそも地方税収の減額による自治体運営への影響や、値下げまでの買い控えと値下げ後の顧客の給油所殺到など流通面での混乱も想定される。重油や灯油がトリガー条項の対象外という問題も抱える。
トリガー条項は拙速に実施せず、制度そのものを丁寧に再構築して課題を解消することから始めたい。資源価格が想定以上に長期化・高騰する事態に今から備えておく必要がある。
(2022/3/25 05:00)
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