(2022/4/7 05:00)
コロナ禍と資源高騰の二つのリスクに見舞われ、過剰債務の苦境に立つ中小企業がある一方、中小から中堅企業へと中長期的に規模拡大を目指す企業が存在する。二極化する中小企業に応じた施策を強力に推進し、全企業数の99・7%を占める中小企業全体を底上げし、日本経済の競争力を強化したい。
まずは過剰債務に苦しむ中小企業を再生することが急務だ。事業再生を円滑に進めるための新たなガイドラインが15日から適用されるのを受け、機動的に対応したい。全国銀行協会が「私的整理」の要件を緩和し、中小企業の事業再生に動きだす。安易な“延命”でなく、“成長する中小企業”に再生する契機とすることが求められる。
全銀協が適用する「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」は、中小企業の「平時」と「有事」の各局面において、中小企業と金融機関が果たす役割を明確化している。中でもコロナ禍と資源高騰に見舞われている「有事」では、返済猶予や債務減免により再生を図る私的整理が受けやすくなる。
具体的には、債務超過を解消するまでの期間を現行の3年以内から5年以内に延長し、無理のない事業再生とするほか、退任などの経営者責任も問わないようにした。また中小企業と金融機関の間に弁護士や公認会計士などの第三者の専門家が入ることで、中小経営者のモラルハザード(倫理観の欠如)を招かない形で私的整理が進むことも期待される。
中小企業は実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が年末にかけて本格化する。同融資や政府の各種金融支援により、コロナ禍にあって2021年の倒産件数は半世紀ぶりの低水準にとどまったが、22年は反動増が懸念される。私的整理の活用などを通じ、倒産件数を少しでも緩和させたい。
7月の参院選を見据えてか、自民党内に私的整理とは別に、東日本大震災の際に講じた公的機関による債務買い取りを求める声もあるという。モラルハザードに照らして適切なのか、慎重な審議を求めたい。
(2022/4/7 05:00)
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