(2022/4/18 05:00)
安全性確保は当然だが、新事業の創出を促す柔軟な規制の運用を期待する。
政府は2021年に成立した改正航空法に基づき、6月からドローン(飛行ロボット)の規制を一新する。難度の高い「有人地帯上空での補助者なし目視外飛行」を認める一方、100グラム以上の無人航空機(ラジコンなどを含む)の登録を義務化。国が機体の安全性を認証し、操縦免許に当たる操縦者の技能認定制度を導入する。
現在のドローン規制は原則として、操縦者や管理者の目の届く「目視」の範囲の飛行しか認めていない。このため農薬散布や空中撮影、インフラ点検などに用途が限られていた。これまで危険度の高い「レベル4」として禁止してきた都市部など有人地帯での目視外飛行を可能にすることで、広域での荷物配達などへの応用が可能になる。
産業界では、経団連が「ソサエティ5・0」に向けた規制改革として、ドローンを利用しやすい制度整備を求めている。新制度の方向性は、こうした要望に合致しよう。
改正航空法では、従来のレベル分類を改め、危険度を三つに整理した。目視の範囲内で危険度の低い「カテゴリー1」は所有者と機体の登録のみで飛行可能。都市部やイベント会場などでの目視外飛行は機体認証と操縦免許を義務づけ、事業者の運用ルールを個別審査する。
基本的な考え方は妥当だ。ただ、こうした公的規制は運用方針によって使い勝手が大きく変わる。当局は参入を希望する事業者の声にしっかり耳を傾けてもらいたい。
欧米をはじめ諸外国でも同様な規制改革は進み、無人配送や災害対応などでドローンの事業利用が始まっている。利用拡大に備え、民間機関による機体認証制度や、広域で運行管理システムを構築して安全性を高める方策も検討されている。
日本では目視可能な農薬散布などの利用が先行しているが、この大きなビジネスチャンスを逃すべきではない。規制だけでなく、新産業創出の視点を忘れてはならない。
(2022/4/18 05:00)