(2022/5/10 05:00)
先進7カ国(G7)は8日に開いたオンラインの首脳会議で、ロシア産石油輸入の段階的な禁止などを表明した。ロシア産石炭に続く禁輸措置で、ロシア経済の生命線であるエネルギー分野に打撃を与え、戦費調達の道を大きく狭める制裁として評価したい。
ロシア産石油の禁輸で日本はこれまで慎重姿勢を崩さず、米欧の後手に回っていたが、国際秩序を堅持する歴史的転換期を迎えているだけにやむを得ない決断だったといえる。
ロシアは9日、第二次世界大戦での旧ソビエトによる対ナチス・ドイツ戦勝記念日を迎え、この日を国威発揚の機会と捉えてウクライナ攻勢を強める意向を示した。
G7が自国経済のリスクを負ってまで戦勝記念日前に声明を出したのは、停戦どころか戦禍が一気に拡大しかねない足元の強い危機感を共有したためだ。ウクライナへの武器供与など直接的な軍事介入に慎重だった米欧も方針転換に至っており、ウクライナは武器がそろう6月中旬以降に反転攻勢に出るという。戦争の長期化が懸念される。
岸田文雄首相は大型連休中、欧州・東南アジアを外遊し、対ロシアでの一段の結束を呼びかけた。ただベトナムのように、ロシアに対する名指し批判を回避する動きもあり、「中立」を掲げる東南アジアなど新興国の結束は一枚岩ではない。G7には東南アジアが経済制裁の抜け道にならぬよう、粘り強い外交も続けてもらいたい。
また日本はロシア極東サハリンの資源開発プロジェクトの権益は維持し、段階的に禁輸措置を講じるという。日本は想定外の展開も視野に、代替供給国の確保も進めておきたい。
ただロシアへの兵糧攻めにも限界があり、天然ガスの禁輸まで進展すれば、過半をロシア産に依存するドイツなどの経済が大打撃を受ける。今後の戦況次第では、西側諸国はロシアとの消耗戦に一段の覚悟を求められる。日米豪印のクアッドは24日に日本で開く首脳会議で、ロシアをけん制する踏み込んだ結束を表明することが期待される。
(2022/5/10 05:00)
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