(2022/5/19 05:00)
新型コロナウイルス感染者数は減少傾向にあるが、原材料や各種商品の値上げに歯止めがかからず、経済の正常化には程遠い状況だ。景気回復には基本的なコロナ対策に加えて、政府の総合緊急対策や企業による賃上げなどで、阻害要因を早期に取り除くことが必要だ。
内閣府が18日に発表した2022年1―3月期の国内総生産(GDP、速報値)は、物価変動の影響を除く実質で前期比年率1・0%減と2四半期ぶりで減少した。年明けに感染力の強いオミクロン株による感染が急拡大し、東京都などにまん延防止等重点措置が出されたため、人出の減少、店舗の営業制限によりGDPの過半を占める個人消費が横ばいと停滞したことがマイナス成長の要因となった。
輸出は東南アジアからの部品調達難がやや解消されたことから自動車輸出などが回復し、前期比1・1%増となった。しかし、輸入がワクチン輸入増や資源高騰と円安などにより同3・4%増と大幅に伸びたため、輸出から輸入を差し引いた外需寄与度はマイナスだった。
4―6月期の見通しは、緊急事態宣言の全面解除に伴う行動制限の緩和を受けて、個人向けサービスを中心とした消費のリバウンドが見込まれるため、大幅に伸びる見通しだ。民間エコノミストの多くが年率5%程度のプラス成長を予想する。
ただ、広範な物価上昇と中国経済の悪化に伴う輸出の下押しが懸念材料で、GDPが伸び悩む可能性もある。ゼロコロナ政策にこだわる中国は上海などでロックダウン(都市封鎖)を続け、北京での外出制限も強化するなど景気の一段の減速も想定される。
日本の景気回復を確実にするには、コロナ対策を継続して行動制限となる事態を回避しつつ、政府は2兆7000億円の22年度補正予算の早期成立を図り、原油高や物価上昇への対応を柱とする総合緊急対策を機動的に実施する必要がある。加えて産業界は賃上げを推進し、政府は外国人観光客の入国規制の段階的な緩和なども行って景気を下支えしてほしい。
(2022/5/19 05:00)
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