産業春秋／コロナ禍でもやめられない

新型コロナウイルス感染症は「喫煙者の減少にほとんど影響していない」と、国立がん研究センターがん対策研究所たばこ政策情報室長の平野公康さんはみる。

喫煙者は感染時に重症化しやすいリスクを抱える。喫煙により引き起こされた併存疾患との関連が研究から明らかになっている。それでも自分だけは大丈夫という正常性バイアスが働くのか。

平野さんは、喫煙率が低下傾向にあるのは、たばこの値上げなどコロナ以外の要因という。「むしろ在宅勤務の導入が進み、喫煙しやすい環境になった。チェーン・スモーキングをする人も相当数いて、受動喫煙が増えた家庭もある」。

３１日は世界保健機関（ＷＨＯ）が定めた「世界禁煙デー」。厚生労働省は６月６日まで「禁煙週間」とし「若者への健康影響」をテーマに掲げる。喫煙を始める年齢が低いほどニコチン依存症になりやすい。

在宅勤務時間も含め全面禁煙にする企業が増えている。喫煙者を採用しない企業もある。内定時に喫煙していたら入社までに禁煙するのが条件とか。健康経営は大事だろう。本人の健康のためにも禁煙してほしい。ただマナーを守っている愛煙家まで肩身が狭くなるのは気の毒でならない。