(2022/7/6 05:00)
経済産業省・中小企業庁は7月の1カ月間を「中小企業魅力発信月間」と位置付け、中小企業の魅力や存在意義を再確認する関連事業を実施中だ。既存の中小企業の一段の活性化にとどまらず、中小企業の魅力が再認識され、起業が増える契機となることが期待される。
中小企業基本法の公布・施行日である7月20日が「中小企業の日」で、7月の1カ月間に地域の中小企業・小規模事業者に関わるイベント(シンポジウムやセミナーなど)が全国各地で開催される。企業庁をはじめ総務、厚生労働、農林水産、国土交通の各省や、日本商工会議所など関連団体が協力している。
中小企業は企業数で全体の99・7%を占め、日本経済を支える。その重要性を全国に発信するほか、中小企業の事業拡大や課題解消も側面から促す。貿易実務や販路開拓、人手不足解消、商談のマッチングを目指した交流会、地域金融の未来など広範なテーマを用意している。中小経営者の積極的な参加が期待される。
他方、日本経済の活性化に向けて起業を増やす契機にもしたい。政府は創業時に経営者の個人保証が不要な融資制度を創設する方針で、既存の中小企業強化と同時にスタートアップ創出の環境も醸成していきたい。
起業に関心がある層が考える失敗時のリスクは、約8割が借金や個人保証を抱えることだという。経営者に個人保証が付与されると、企業が破たんした時に経営者が返済を求められる。一度の失敗で多額の借金を背負うリスクがあり、個人財産にまで影響が出るため創業に踏み出せない要因にもなっていた。
政府は経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた施策を2022年度中にまとめる方針だ。新たな施策が起業家の背中を押し、スタートアップ創出が促されることを期待したい。
資源・原材料高やコロナ禍など中小企業をめぐる経営環境はなお厳しいものの、今夏は産業の礎である中小企業の存在意義はもとより、起業による産業の新陳代謝の重要性も再確認する期間にしたい。
(2022/7/6 05:00)
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