(2022/7/13 05:00)
岸田文雄政権は懸案の物価高対策について、予備費5・5兆円を確保した現行の緊急対策に加え、自身の看板政策「新しい資本主義」の実行という2段構えで臨む意向だ。一時的な補助金といった対処療法にとどめず、中長期的に潜在成長率を引き上げる成長戦略により、継続的な賃上げを実現したい。
足元では石油元売り会社への補助金給付、地方が物価対策で任意に使える臨時交付金、さらに政府は8月中に節電に協力した家庭に2000円相当のポイントを付与するサービスなどを始める。ただ、これら“小粒”な施策で実質所得の低下に歯止めをかけるのは難しい。中小企業の価格転嫁も十分に実施されていないのが実情だ。
岸田政権は新しい資本主義の施策を盛り込んだ2022年度第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出することを検討する。自民党内には安倍晋三元首相が主張する積極的な財政出動を求める声もあるが、物価高に困窮する業種に集中的な支援を行うなど、メリハリを利かせた予算編成が求められる。
新しい資本主義実行計画では、成長分野への労働人口の流動化を促す人材投資や科学技術・イノベーション、スタートアップ起業、デジタル変革(DX)・グリーン変革(GX)に重点投資する。工程表によると22年度中に実施する施策が多いが、中小企業による適切な価格転嫁の環境整備は27年度まで続く。中小企業が賃上げ原資を確保するための施策で、23年度当初予算以降も視野に、中長期の視点で物価高騰の構造問題を改善していく必要がある。
物価上昇に拍車をかける急激な円安も警戒したい。日米金利差による円安進行に加え、日本が5月まで10カ月連続の貿易赤字であることも影響する。中長期的に日本の国際競争力を高めて為替の安定化につなげたい。
経済協力開発機構(OECD)によると22年の世界の物価上昇率は8・5%に達する見通しだ。ロシアのウクライナ侵攻が終息しない限り、世界経済減速の影響が日本経済に及びかねないことを留意しておきたい。
(2022/7/13 05:00)
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