産業春秋／全国旅行支援が延期に

政府は新たな旅行需要喚起策「全国旅行支援」について、７月前半に予定していた実施を延期する方針を決めた。その代わり、１４日に終了する「県民割（ブロック割）」を８月末まで延長する。

県民割（ブロック割）は県内やブロック化した複数の都道府県への旅行代金を割り引くサービスで、全国旅行支援は全国どこに旅行しても割引やクーポンの配布を受けられる。需要喚起が期待されたが全国的なコロナ禍の急拡大ではやむを得ない。

全国旅行支援のサービスを受けるには、県民割（ブロック割）と同様にワクチン３回接種か陰性証明書の提示が必要で、若者の接種が加速すると期待されていた。サービスの延期は旅行需要に加えてワクチン接種にも影響を及ぼしかねない。

政府はコロナ禍急拡大も行動規制は実施しない方針を示す。病床使用率が低水準であることなどが理由だ。だが東京都は先回りして確保病床数を“第６波”の最大時と同規模の約７０００床に増やすよう、医療機関に要請している。

今後、コロナ禍と経済活動との両立は可能なのか。自治体任せの政府の対応の遅れが、結局は行動規制につながっては元も子もない。政府主導の迅速な対策が求められる。