産業春秋/広がるサマータイムの可能性

(2022/7/15 05:00)

サマータイムは涼しい時間帯に混雑を避け快適に出勤できる。省エネ効果とともにコロナの感染防止や男性の育児参加、健康経営など多様な課題の解決を促す可能性を秘めていそうだ。

産業用エンジンのクランクシャフトなどを製造するユアサ工機(岡山市)は、6-8月をサマータイムにしている。顧客対応が必要な営業部門を除き、7時に出社し、16時に退社する。トップの一声で始めて13年になる。

最大の成果は社員の士気向上にあるという。翌朝の出社が早いため何としても16時に帰りたいが、納期は守らなければならない。製造部門は効率的に時間を使い、必要数を加工するようになった。

マイカー通勤者は渋滞にかからず時間短縮になる。公共交通の利用者はオフピーク通勤により感染対策に。早寝早起きが習慣になれば健康増進の効果も期待できる。「制度を定着させるこつはメリットを前面に押し出すこと」(総務担当者)とか。

サマータイムは業種や職種により向き不向きがある。製造業ではコロナと共生しながら経営を回し、働き方改革と生産性向上の両立が課題になっている。ユアサ工機のようにじっくり腰を据えて取り組む中小企業がもっと出てきてほしい。

(2022/7/15 05:00)

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