(2022/7/18 05:00)
経済危機にあるスリランカ。政権は事実上崩壊し、先行きは不透明な状況にある。中国依存を強め「債務のわな」に陥ったところに観光業がコロナ禍の打撃を受け深刻な外貨不足に陥った。
ロシアによるウクライナ侵攻でガソリンや物価も高騰。市民によるデモも起きていた。紅茶や宝石のイメージが強いが、およそ100社の日系企業が進出(2021年10月時点)している。
海底ケーブル用光デバイスで高い世界シェアを誇る湖北工業は、主力製品の組み立てを同国で行う。穏やかで根気強い国民性は、高い精度が要求される作業に向いており、現地従業員は800人を数える。
現時点では通常生産は継続。出勤や物流も支障を来していないが、不測の事態に備えた対策も講じるという。同時に従業員の生活への影響長期化を懸念する。
1951年のサンフランシスコ講和会議に当時、セイロン代表として出席した後の大統領は「憎悪は憎悪によって止まず」との仏陀(ぶっだ)の言葉を引用し、対日賠償請求権の放棄を表明。日本を国際社会の一員として受け入れるよう訴えた。国際通貨基金(IMF)による支援協議はこれからだが、日本として協力できることを見極めたい。
(2022/7/18 05:00)