(2022/7/28 05:00)
国際通貨基金(IMF)が2022年および23年の世界経済見通しをまとめた。22年より23年の予測の方が厳しく、日米欧の実質成長率が23年に1%台の低成長に落ち込むと見通す。欧州はロシアからのガス供給が絶たれると、23年はほぼゼロ成長を迫られる。世界経済はウクライナ情勢を背景に不透明感を強めており、景気後退の入り口に差しかかったと警戒したい。
IMFによると、22年の世界の実質成長率は3・2%、23年は2・9%で、今年に入り3度目の下方修正となった。ウクライナ情勢が食料・エネルギー価格の高騰に拍車をかけ、欧米は物価上昇を抑制するための金融引き締めを加速、中国はゼロコロナ政策に基づくロックダウン(都市封鎖)と危機的な不動産事業が想定以上の景気減速を招いているという。
欧米による金融引き締めは自国経済を減速させ、22年より23年にその影響が顕著になることに留意したい。23年は米国が1・0%、ユーロ圏が1・2%と1%台の低成長を迫られる。日本も1・7%成長にとどまる。
IMFはこうした基本シナリオとは別に、複数のリスクを想定した代替シナリオもまとめた。ロシアから欧州へのガス輸出が22年末に停止、人手不足に伴うインフレが長期化、新興・途上国の債務危機などを想定した場合、22年の世界の実質成長率は2・6%、23年は2・0%まで落ち込むと予測している。
中でも欧州のエネルギー需給の逼迫(ひっぱく)と新興・途上国の債務問題が懸念される。欧州連合(EU)はロシアからのガス供給停止に備え、8月1日から23年3月末までガス使用量を自主的に15%削減する。この“節ガス”は間違いなく経済にはマイナスに作用しよう。
欧米の金融引き締めで自国通貨安が進む新興・途上国は資金流出に伴う債務危機が深刻化しつつある。だが最大の債権国である中国は債務再編(返済条件の緩和)に消極的だ。西側諸国は新興・途上国のデフォルト(債務不履行)率低下が中国にも世界経済にも資することを粘り強く訴える必要がある。
(2022/7/28 05:00)
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