(2022/7/29 05:00)
米連邦準備制度理事会(FRB)が2会合連続で政策金利の大幅な引き上げを決めた。前回の6月会合に続き、通常の3倍に当たる0・75%の利上げ幅とした。記録的な物価上昇を抑制するための決断だが、景気後退への懸念が残る。米国は長短金利が逆転した逆イールドの状況にあり、個人消費にも陰りが見られる。米国経済の先行きを注視したい。
米FRBは3月に0・25%、5月に0・5%の利上げを決め、6月は1994年11月以来、27年7カ月ぶりに0・75%の大幅利上げを決断した。この利上げ幅を7月も継続する。米国の6月の消費者物価指数は前年同月比9・1%上昇と、40年半ぶりの高水準となった。11月に中間選挙を控えたバイデン米大統領の支持率は3割程度に沈んでおり、インフレ退治を急ぐ姿勢を示したものと言える。
懸念されるのは米国が景気後退に陥りかねないことだ。米国は今回の会合で0・75%の利上げを決めたが、為替相場は円安・ドル高には傾かず、28日の東京外国為替市場は前日より円高基調で推移した。米国債市場では2年債利回りが3%前後、10年債利回りが2%台後半と、短期金利が長期金利を上回る逆イールドの状況にある。低水準の長期金利と逆イールドが、景気後退を示唆している可能性があることに留意したい。
米国経済は雇用情勢が堅調ながら、個人消費や住宅需要に利上げの影響が出始めていることも気がかりだ。
物価上昇を抑制するには供給が需要を上回る必要がある。だが中国・ロシアへの経済制裁やコロナ禍を背景に、食料・エネルギーの需給は逼迫(ひっぱく)し、半導体などの調達難も招いている。自国利益を減らしたくない産油国は大幅な増産には慎重で、供給を増やすことは難しい。
需要を減らせば物価上昇を抑制できるが、経済を冷やしては元も子もない。米FRBは年内に3回の会合を残している。パウエル議長は27日(現地時間)の会見で、利上げペースを緩和する可能性を示唆しており、慎重な判断を求めたい。
(2022/7/29 05:00)
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