産業春秋/桜島の降灰対策に学ぼう

(2022/8/1 05:00)

「降灰による被害もなく、普段と何も変わらない。むしろ風評被害が心配」。7月24日に桜島の南岳で爆発的噴火が発生したが、鹿児島市内の企業関係者は冷静そのものだ。

製糖機械メーカーのマツオ(鹿児島市)では降灰が起きやすい風向きの時は工場を閉め切り、機械や加工品をビニールシートで覆う。暑さ対策のため作業員は各人専用の冷風機がある。制御盤の吸気口フィルターは小まめに清掃する。

1980年代は降灰被害が頻発した。「視界が遮られるほどの降り方で数センチメートル積もったこともある」(鹿児島市役所)。桜島と共に暮らす中で培った知見は頼もしい。官民いつでも降灰に対処できる体制ができている。

静岡、山梨、神奈川の3県と国などでつくる富士山火山防災対策協議会は広域避難計画を2022年度中に改定する。1707年の宝永噴火では江戸市中でも灰が降った。儒学者の新井白石は自伝『折たく柴の記』で、その様子を詳しく記している。

宝永級の降灰が現代社会で起これば首都圏の輸送網や製造業は痛手を受け、部品供給が混乱をきたす危険性がある。鹿児島市内の中小企業が当たり前のように実践してきた降灰対策を被害の軽減に役立てたい。

(2022/8/1 05:00)

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