産業春秋/106万円・130万円の壁の撤去を

(2022/8/3 05:00)

2022年度の最低賃金の目安が時給961円と過去最大となった。岸田文雄政権の新しい資本主義実行計画では、最低賃金の上昇と社会保険(厚生年金、健康保険)の適用拡大を通じて“106万円の壁”や“130万円の壁”を解消する狙いもある。

壁は社会保険への加入が必要となる年収の基準で、条件に応じて106万円と130万円の二つの壁がある。配偶者の扶養から外れないようあえて年収を抑える主婦らがいる。女性就労の制約となっている壁が解消されれば年収増加と消費喚起が期待できる。

10月から短時間労働者の社会保険の適用対象が拡大される。従業員500人超から100人超(24年10月からは50人超)に拡大するほか、勤務期間1年以上とした要件も2カ月超に。社会保険に加入していない主婦らの中には、壁が消失するケースも出てくる。

社会保険の適用拡大をさらに進め、最低賃金も継続的に引き上げていくことで、106万円や130万円の壁の問題は解消されていくと政府はみている。

少子高齢化が進む中、日本経済の持続的な発展には女性活躍が欠かせない。分厚い中間層を形成する上でも、女性就労を制約する壁の完全撤去が待たれる。

(2022/8/3 05:00)

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