(2022/9/15 05:00)
幼い頃、こんな話をしていた友人がいた。「給料袋を母に渡す父を前に毎月、兄弟そろって感謝の念を口にする」。子供心に、ずいぶんきちんとした家庭だと感じた。
現金支給はもやは珍しくなったが、労働の対価としての給与のイメージが大きく変わるかもしれない。企業が一部をキャッシュレス決済口座に振り込む「デジタル給与」が2023年春にも解禁される見通しとなった。
「ペイペイ」のようなスマートフォン決済アプリに定額が振り込まれれば、利用者は銀行口座間で資金移動させたり残高を頻繁にチャージする手間を省ける。ただし残高上限は100万円に設定される。
デジタルマネーの利用機会は各段に広がる一方で、報酬の「重み」や価値への「実感」は薄れやしないか。杞憂(きゆう)をよそに、企業の間ではキャッシュレス決済を通じて顧客を囲い込み、独自の経済圏を確立しようとサービスを競い合う動きが活発化する。デジタル給与はこうした動きに拍車をかける。
もとより、利便性だけでなく業者の破綻や不正引き出しに備えた資金保全・安全性の担保、監督体制の構築が求められるのは言うまでもない。生活の根幹をなす給与が業者任せであってはならない。
(2022/9/15 05:00)
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