産業春秋／きょう技能五輪開幕

第６０回技能五輪全国大会（主催＝厚生労働省、中央職業能力開発協会）が４日開幕する。千葉県の幕張メッセなど１３会場で開かれ、青年技能者１０１４人が４１職種で技を競う。一部会場を除いて有観客での開催だ。熱戦に注目したい。

職種は実に広範囲に及ぶ。機械や精密機器の組み立て、メカトロニクス、自動車板金などのほか、美容や洋菓子製造、日本料理、西洋料理なども含まれる。小学生が将来就きたい職業のベスト１０で常連の一つがパティシエや料理人。先輩たちの活躍が期待される。

洋菓子製造の場合、採点で評価されるのが味覚、ビジュアル、バランス、色彩、技術、衛生管理、作業の安全性、整理整頓、手洗い、競技時間などだ。

技能五輪では昨今の食料品の高騰を勘案し、低コストで洋菓子や料理を仕上げるといった課題はない。むしろ食べる者を幸せにさせる高付加価値化と、その裏付けとなる安心・安全の衛生や技術が問われているように感じる。

日本の“失われた３０年”は台頭する新興国との価格競争に奔走し、イノベーションという高付加価値化を置き去りにした側面がある。付加価値を追い続ける若い技能者の熱戦は、日本に重い命題も突き付けている。