産業春秋／車いすでウクライナ支援

ＮＰＯ法人さくら車いすプロジェクト（東京都墨田区）は、車いすの提供を通じて途上国で障がい者の自立を支援してきた。その経験を生かしロシアによる攻撃が続くウクライナに車いすを贈る。

支援の輪は関連団体に広がりつつある。車いすのメーカーや販売店などで構成する日本車椅子シーティング協会（同港区）はプロジェクトを応援する。会員企業に呼びかけ中古の車いすを寄付してもらう。

日本貿易振興機構（ジェトロ）ワルシャワ事務所によると、戦争の長期化でウクライナの車いすは不足している。日本製の車いすは日本郵船の協力により貨物船でポーランドまで運ばれ、現地の団体を介してウクライナにある２０―３０の医療機関に供給される。

プロジェクト代表で電動車いすメーカーさいとう工房（同墨田区）の斎藤省社長は、関連団体の協力を得て「オールジャパンで日本人の思いがこもったものを贈りたい」と話す。１回の船便で約１５０台を送り、これを繰り返す計画という。

国際社会はロシアの侵略行為を許してはならない。草の根の人道支援はその普遍的な価値を訴求するメッセージにもなろう。ウクライナに１日も早く平和が訪れることを願うばかりだ。