(2023/3/31 05:00)
ドライバーが乗車しなくても一定の条件下で公道を走行できる自動運転「レベル4」が4月1日から解禁される。遠隔監視付きの巡回バスなどが対象になる。運用のノウハウを蓄積し、安全性向上や低コスト化をさらに進め、中長期的にはドライバー不足や高齢ドライバーによる交通事故の多発など社会課題の解消につなげていきたい。
レベル4は当面、自家用車は想定しておらず、特定ルートを巡回する無人バスなどに運行を許可する。遠隔監視により、すぐに自動停止できる機能も備える必要がある。都道府県の公安員会による許可制で、使用する自動車の型式や経路、日時、運送する人・物、遠隔監視する所在地などが審査基準になる。政府は2025年年度をめどに全国40―50カ所程度で自動運転移動サービスを実施することを目指しており、まずはこれらサービスの本格普及に向けて安全第一で実績を積み上げたい。
安全性に次ぐレベル4の課題は、バスなどの有人運転より高いコスト。自動運転車両は多数のセンサーや自動運転用のソフトウエアを搭載し、遠隔地で運転を管理する人員も必要になる。例えばソフトバンクは人口知能(AI)を活用し、遠隔監視者には対応が必要な情報のみを通知するプラットフォームの実証実験を始めている。遠隔監視者の負担が減れば、複数の自動走行車を効率的に監視できる。遠隔監視の運行業務の完全無人化も目指しており、こうした研究開発の進展が期待される。
レベル4とレベル3の最大の違いは、ドライバーが乗車しているか否か。ともにシステムが運転操作するものの、レベル3は万一に備えてドライバーが乗車し、システムに不具合があればドライバーに運転を交代する。レベル4はドライバー不在という点で自動運転にとって大きな転機を迎えたことになる。
政府は25年度以降、高速道路でのトラックのレベル4走行の実現を目指している。深刻なドライバー不足が懸念されるだけに、政府は実現に必要な運行管理システムやインフラの整備も確実に推進してもらいたい。
(2023/3/31 05:00)