(2023/6/27 05:00)
日銀は7月3日に6月の企業短期経済観測調査(6月短観)を発表する。主要シンクタンク予測によると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が7四半期ぶりに改善する見通しだ。大企業・非製造業より業況改善が遅れていたが、ようやく製造業も好転したと期待したい。
大企業・製造業の業況判断DIは、自動車産業の半導体不足が改善するなど、供給制約が緩和された影響が大きい。資源価格の上昇が一服したことや、円安による輸出の後押しも業況を改善させたと指摘している。
大企業・製造業の前回3月調査の業況判断DIは5四半期連続で悪化していた。6四半期前は前期比横ばいだったため、今回改善すれば7四半期ぶりとなる。DIのプラス幅は前回3月調査のプラス1に対し、1ケタ台前半を予測する向きが多い。数字は小さいが、改善に反転する局面変化を迎えたと期待したい。
ただ米欧の金融引き締めが景気後退を招きかねず、中国もゼロコロナ政策終了後の回復力が鈍い。世界経済減速を見据え、日本は内需主導の成長を目指したいが、円安の進行で輸入物価が上昇する可能性が残る。政府・日銀は過度な為替変動については、米国と意思疎通を図りつつ適切に対応してもらいたい。
大企業・非製造業の業況判断DIは6月調査でも堅調を維持しそう。プラス20だった前回3月調査のDIがプラス21―23程度に改善するとの予測が目立つ。新型コロナの「5類」分類で経済活動が正常化に向かい、訪日外国人客もコロナ禍前の7割弱まで戻った。堅調な春闘が消費に貢献したとの指摘もある。ただ円安の進行が内需を縮小させる可能性には留意したい。
23年度の設備投資計画は大企業の製造業、非製造業とも大幅に増えそうだ。前年度比の増加率で製造業は15%前後、非製造業は10%前後と予測。コロナ禍で先送りした投資が再開し、人手不足対策の省力化や脱炭素化、デジタル化などの投資が増えている。電気自動車(EV)関連も拡大する。産業界はこれら成長投資を推進し、日本の低い潜在成長率を引き上げたい。
(2023/6/27 05:00)
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