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(2023/7/3 05:00)
現場を知り顧客に提案
(総合1から続く)泡立ちにくい水溶性切削油の開発を担当しました。切削油が泡立つと工作機械が緊急停止することもあり、トラブルの原因となります。単に泡立ちを抑えるだけだと、潤滑の機能が落ちてしまう。うまく調整するため、基礎検討の期間を通常より長くもらい、業界動向の情報収集も含めて取り組みました。
開発や営業の同僚の助けも借りて製品化し、今では国内外の顧客の現場で使われています。泡立ちを抑える添加剤の投入量を減らせるので、資源の有効活用も期待できます。
甲南大学大学院自然科学研究科では、ドラッグデリバリーシステム向けの材料の合成や評価などを研究しました。合成と評価をバランス良くできるという自分の強みを生かしたくて、「さまざまな知見を持つ会社」を就職活動の軸に考え、当社を選びました。
ただ入社後のギャップもありました。当初は開発職について、学生時代の研究室の延長のようなイメージを持っていたのです。だけど実際は、顧客の工場を訪問するなど「ドロ臭い」仕事も多く、戸惑うことも。それでもそのうち、営業担当者と一緒に顧客をフォローし、新しい提案をするには、現場を知らないとできないと痛感し、意識が変わりました。
営業や製造の担当者が開発側に相談してきた時に、私が「よく分かりません」と投げ出してしまったら、そこで話が止まってしまいます。ダメだったとしても代替案を出すこと。たとえ順調でも、次のプランを考えること。こうした「分岐」を意識して仕事するようにしています。
結婚して以降は、仕事と家庭のバランスをきちんと考えるようになりました。相手との時間を大切にするため、仕事にメリハリをつけること。ただ夫も同じ開発職なので、お互い一つのことに没頭してしまいがちです。(文=大阪・園尾雅之、写真=同・田山浩一)
◇MORESCO 機能材事業部 機能材開発部 開発二課 川口真里奈(かわぐち・まりな)さん
(2023/7/3 05:00)