(2023/7/13 05:00)
北大西洋条約機構(NATO)は11日(現地時間)にリトアニアで開いた首脳会議で、ウクライナへの長期支援などを盛り込んだ共同声明を採択した。焦点だったウクライナのNATO加盟には踏み込めなかったものの、ウクライナとNATOの結束に影響が及ばないよう支援をさらに強化し、ロシアへの反転攻勢を後押ししたい。
他方、スウェーデンがNATOに加盟できる見通しになった。フィンランドに続く加盟により、ロシアへの抑止力が強化されると期待したい。ただロシアの緊張を高めかねず、弱体化が指摘されるロシア軍はむしろ危険との見方もある。これまで以上に戦況を注視したい。
NATOはウクライナのNATO加盟について、条件が整い加盟国が同意すれば加盟手続きを始めることで合意した。「ウクライナの未来はNATOにある」と将来の加盟を確認しただけで、期限は示さなかった。
NATOに集団防衛を求めるゼレンスキー大統領は強く反発するものの、戦争中の加盟となれば加盟国は直ちに参戦することになり、停戦後の加盟でもロシアの核の脅威がNATOに及ぶ。NATOはウクライナを軍事的に長期支援する決意をロシアに示すことを選択した。できうる限りの支援を継続し、停戦への道筋を模索してほしい。
NATOは今首脳会議で、ウクライナ軍の兵器を旧ソ連基準からNATO基準に近づけることで、NATOとの相互適応性を高める長期支援を行うことでも合意。NATO加盟国は軍事費を国内総生産(GDP)比で「2%水準」から「2%を下限」に引き上げることも決めた。ロシア抑止効果に期待したい。
ロシアのプーチン大統領には皮肉な現象だ。NATOの勢力拡大を阻止するためのウクライナ侵略が、軍事的に中立だったフィンランドに続き、スウェーデンもNATOに加盟する見通しになった。北欧2カ国の加盟により、ロシアはNATOとの緩衝地帯を失う。国際社会は和平への結束をさらに強化し、ロシアのウクライナ撤退と国際秩序の回復を早期に実現したい。
(2023/7/13 05:00)
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