(2023/7/17 05:00)
福島の復興に向けた一歩になる。欧州連合(EU)は福島など10県で生産される水産物や山菜などに対する輸入規制を8月3日から撤廃すること決めた。EUは東京電力福島第1原子力発電所の「処理水」の海洋放出についても、国際原子力機関(IAEA)の“お墨付き”を歓迎するとした。
EUは福島第1原発事故後、10県の水産物などに対し、放射性物質の検査証明書の提出を求めていた。この規制の撤廃と処理水への評価により、福島からEUへの輸出増を期待したい。
処理水については、韓国も国際基準を満たすと評価し、韓国周辺の海域に影響はないと判断した。韓国・野党は市民団体の反発は強いものの、韓国政府から理解を得られた意義は大きい。
ただ福島県産などの食品輸入について、韓国や中国など11カ国・地域が規制を続けている。処理水の問題については太平洋島しょ国も懸念しており、科学的な安全性の根拠を粘り強く訴えたい。
処理水の海洋放出で最大の焦点となるのが地元漁業者の理解を得ることだ。政府と東電は「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と地元と約束している。政府は約束を反故(ほご)にすることなく、軟着陸してもらいたい。
(2023/7/17 05:00)