産業春秋/山の日に鉱山を考える

(2023/8/11 05:00)

きょう11日は山の恩恵に感謝する山の日。登山に関わる人たちの発案で2016年に施行されたが、産業紙としては“鉱山”の重要性をあらためて知ってもらいたい。

鉱山というと、佐渡金山や世界遺産になった石見銀山が頭に浮かぶ。戦国時代の終わりから江戸時代に世界有数の産出量を誇った。ほかにも全国各地に数多くの鉱山はあったが、昭和期までにほとんどが閉じた。

閉山は鉱脈の枯渇、為替や金属価格、採掘コストで成り立たなくなったことによる。以降、日本の非鉄金属製錬の原料鉱石は、大半を輸入に頼る。

代わって昭和末から“採掘”が本格化したのが都市鉱山。廃家電などの部品部材に使われている金などをリサイクル資源ととらえた。とはいえ、これもコスト問題と無縁ではない。

近年、世界的な資源争奪戦や経済安全保障の面から資源確保はより難しくなった。海外での鉱山権益の獲得や、電気自動車の廃電池や磁石から希少金属を取り出す技術の確立などは持続的な産業活動の生命線となる。現在、鉱山を社名に冠する上場企業は、高品位金鉱の菱刈鉱山(鹿児島県)を持つ住友金属鉱山のみ。鉱山業は希少な存在となったが、重要度は増している。

(2023/8/11 05:00)

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